茨城県は県内の精神医療の中心を担う県立友部病院(笠間市)の老朽化した施設を新築し、来年4月から「県立こころの医療センター」(537床)として開院します。病院の縮小・統廃合に反対し早期建て替えを求めてきた県民の運動と日本共産党の大内くみ子県議の尽力が実ったものです。
「暗さを払しょく」
平日の午前、狭い待合で患者が肩を並べるようにして診察を待ちます。外来は予約制で1日約200人。金曜日は2時間待ちになることも。
家族に付き添って来院した30代女性は「古いけど私たちにとっては頼りの病院。きれいな病院が同じ敷地内に新築されることになって本当によかった」と語ります。
現在の病棟がつくられて約50年。施設はところどころコンクリートがはがれ、さびた鉄筋が見えます。来院者から「ホラー映画に出てきそう」という声もあがるほどでした。
友部病院は県立内原精神病院を母体に1960年に開設。2008年から県内で唯一、24時間365日の救急を開始するなど精神医療の基幹病院として重要な役割を果たしています。
新病院の建設は患者一人ひとりの居場所を守りながら一定の距離を保って寄り添う「家」がコンセプト。2階建ての病棟で落ち着いた環境をつくります。
児童・思春期の外来、入院病棟、デイケアを一般と分離し、多感な年齢に配慮。入院患者の社会復帰をうながすリハビリ病棟の整備にも力を入れました。
県病院局の担当者は新築にともない「暗いイメージを払しょくし、県民に親しまれる病院にしたい」と説明。友部病院は「地域に開かれた中核病院、プロを育てる専門病院、さまざまな症例や治療法を全国に発信する先進病院という三つの役割を果たしたい」としています。
統廃合を自民迫る
大内県議は県議会で友部病院の縮小・統廃合に反対し、建て替えを強く求めてきました。
友部病院は90年代半ばから改築の必要性が指摘されていましたが、県はこれまで棚ざらしにしてきました。
それどころか県が設置した改築検討委員会は診療機能を縮小する中間報告書を発表(02年7月)。入院の8割を占める統合失調症の患者らが切り捨てられようとしていました。
県議会では自民党が友部病院を県立中央病院内に統合することを要求。現在地での存続を願う県民から出された、病院の早期改築と診療機能の充実を求める請願(03年9月、署名8万1637人)に反対して不採択にするなど患者・家族、医療関係者の願いに背を向けました。
大内県議は「改築が最優先課題。先送りするべきでない」(05年12月、出資団体等調査特別委員会)、「現在地建て替えが基本」(06年6月、同)と病院つぶしに繰り返し反対してきました。
県は検討の結果、縮小の方針を撤回し、現在地に新病院をつくる設計費用を07年9月の補正予算に計上。存続の道が開かれました。
大内県議は「病院新設で冷たい県政は変えられると希望を示すことができた。茨城の医師数は全国46位。県民要望の1位である医療体制の整備のため引き続きがんばりたい」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2010年11月27日付・4面より)