新年度県予算
商工金融は減額、国補公共は大幅増
中小企業融資の拡充、生活道路整備優先に
大内久美子県議が反対討論


茨城県議会は3月22日、新年度予算案を日本共産党以外の賛成多数で可決しました。
大内久美子県議がおこなった反対討論はつぎのとおりです。



日本共産党の大内久美子です。

最初に第1号議案、平成25年度一般会計予算と第35号の警察職員の増員について反対討論を行います。
深刻なデフレ不況の原因は、労働者の賃金を下げ、非正規労働者を増やしたことにあります。賃上げと待遇改善、中小企業支援が課題です。
ところが国は公務員給与の7.8%削減をおしつけ、地方交付税を削減してきました。
地方自治の本旨に基づき、地域経済を疲弊させないためにも本県は削減すべきではありません。

●新年度193名削減――警察官が一般行政職員数を上回る

しかし、知事は明確な方針を出さずに、新年度、職員を193人減らし、警察官だけは22名増員です。昨年4月で警察は知事部局より225人も多い状況です。本県の非常勤嘱託職員は14年間で2倍に増え、臨時職員を加えると全職員の21%を占めており、早急に改善しなければなりません。

さらに、本県は企業の99.9%は中小企業です。4月から中小企業金融円滑化法がなくなり、資金繰りの悪化や倒産が予想されます。こうした時、商工金融対策費は、前年度比86%、146億円も減額し、自治金融や中小企業融資貸付金、信用保証料助成費など、大幅に減らしました。中小企業融資は拡充すべきでした。

さて、安倍政権は浪費型公共事業を拡大させ、財政を苦しくさせてしまいます。公共事業は平成24年度補正と一体で、36.3%の増額です。道路建設・道路維持費をみても、国補事業が22%、国直轄事業は50%も増えていますが、県単事業は23億円、17%の減額です。交通安全施設費や生活道路の補修費を減らしていることは、県民要望に応えておりません。

●開発用地破たん処理にすでに1600億円の税金投入

大型開発の見直しこそ課題です。TX沿線開発に314億円、圏央道に79億円、常陸那珂港区など4つの港湾整備に124億円です。八ッ場ダムは初めてダム本体工事に調査費がつき、今後、建設費の大幅な増額が予想され、中止を要請すべきです。

開発用地の破たん処理にこれまで1,600億円も税金を投入してきました。今でも1,200ヘクタールの売れ残りと、3,500億円もの借金を抱えており、新年度も116億円の税金投入です。

中学卒業までの医療費無料化にあと30億円、中学3年までの全てのクラスを35人以下にするのにあと60億円でできるのです。破たん処理優先をやめ、福祉や教育の充実こそ県民の願いです。

知事の公約した「生活大県」にはほど遠く、「売れ残り土地保有大県」「借金大県」にしてしまいました。よって、新年度予算は同意できません。

●黒字の上水道値下げこそ市町村、県民の願い

鹿島工業用水道の料金値下げが提案されています。しかし、県民や市町村長が強く望んでいるのは上水道の値下げです。上水道の平成23年度の25億3千万円の黒字は、すべて建設費の償還金に充てています。

工業用水は3年ごとの見直しで値下げを行い、一方、上水道は、県南広域は25年間、中央広域は21年間、一度も値下げをしておりません。県民の暮らしを支援するためにも黒字分は値下げすべきであり、第17号水道事業会計予算には同意できません。

●「応益負担」を温存した「障害者総合支援法」

第29号は、障害保健福祉施策の法律の施行に伴う条例改定です。障害者自立支援法を、障害者総合支援法に改めました。障害者の範囲に難病を加えましたが、すべての難病が対象にはなっておりません。また、障害者本人の必要性を考慮しない機械的にサービス内容を区分する「障害程度区分」制度も存続します。

旧法をめぐって、サービス利用料、原則1割の応益負担に違法訴訟がおき、前政権は、廃止を約束して原告団と和解しました。その後、旧法に代わる法律をめざして障害者も参加した政府の「総合福祉部会」が発足しましたが、同部会が提言した障害者を権利の主体として明記することや、利用料の無料化など、新法には盛り込まれませんでした。よって、新法に基づく改定には同意できません。

●自家労賃を経費に認めない所得税法56条は廃止に

請願25年2号、所得税法56条の廃止を求める意見書の採択を求めます。世界の主要国は、自家労賃は必要経費としており、日本だけが56条で認めておりません。戦前の家族制度・世帯単位課税制度を残し、憲法で保障する法の下の平等、男女平等などと矛盾しています。税法、社会保障など家族従業者の人権保障の基礎をつくるためにも、56条は早急に廃止すべきです。

全国で360余の自治体議会が意見書を上げ、政府も検討をはじめました。よって本請願の不採択には反対いたします。

以上で討論をおわります。



20130322

(「県議会速報」より転載。PDFは日本共産党茨城県委員会Webの「資料」をご覧ください)