2013年10月23日に行われた茨城県議会第3回定例会・予算特別委員会での大内久美子県議の質問(大要)はつぎのとおりです。


 【質問項目】
1. 県立あすなろの郷について(答弁・保健福祉部長)
2. 水資源開発の見直しについて(答弁・知事)
(1)水需給計画の見直し
(2)八ッ場ダム工期延長・事業の中止
(3)霞ヶ浦導水事業の中止
(4)水道料金の値下げ
3. 知事の政治姿勢について(答弁・知事)
(1)市町村への職員派遣
(2)政治資金
(3)退職手当


1.県立あすなろの郷について

日本共産党の大内くみ子です。
最初に県立あすなろの郷について伺います。

開設から40年がたち、施設の老朽化がすすんでおり、建て替えが課題になっています。481人の障害者が入所しており、重度の障害の方が94%です。民間で処遇が困難な方を受け入れており、重度障害者のセーフティネットとして重要な役割を果たしています。
県社会福祉事業団に管理運営を委託していましたが、平成18年から事業団は指定管理者となり、来年から非公募となります。379人の職員のうち65%が正職員、35%が嘱託など非正規職員です。指定管理者になって、委託料が10億円も減らされ、非正規の方が1.7倍になったのです。
今後の建て替え計画と、専門職員の養成、職員の待遇改善など、施設のあり方について、保健福祉部長に伺います。(答弁)

施設の建て替えについて、職員がワーキングチームをつくり、県に提案を行っていますが、現場の声を生かすべきと考えます。現在、100人以上の方が入所を待っており、県南、県西地域などへの施設建設も課題です。
本県は、県立こども福祉医療センターを民設民営にし、県立の障害者施設は、あすなろの郷とリハビリテーションセンターだけにしてしまいました。
県立施設の役割を明確にし、重度障害者のセーフティネットとして、中心的な役割が果たせるよう、委託料の増額など、拡充策がとられることを要望します。

2.水資源開発の見直しについて

次に水資源開発の見直しについて、知事に伺います。

本県はダム開発などで、2020年には1日46万立方メートル(水の場合は同じなので、トンで表現します)、100万人以上の都市用水が余ることを認めました。
日本共産党は自然流や地下水利用を入れると、180万人以上の水余りと指摘し、水源開発の中止を求めてきました。
パネルをご覧ください。


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2007年に改定した長期水需給計画(水のマスタープラン)は、2020年は1人1日最大給水量を450リットルとしました。実態は、10年前から400リットルを下回っています。1日最大給水量も実績の1.4倍の計画です。給水人口は297万人と予測、ところが2011年改定の県総合計画では、285万人と12万人の下方修正をしました。2035年には245万から255万人に減少と予測したのです。
県総合計画の人口減、1人1日最大給水量、1日最大給水量の実態とあまりにもかけ離れています。「水のマスタープラン」の見直しについて、見解を伺います。(答弁)

保健福祉部発行の「茨城の水道」2012年の実績では、1日最大給水量は102万6千トンでした。市町村が保有している水は113万9千トンです。安定水利権と地下水源をあわせたものですが、給水量は十分確保されています。
実態を直視すれば、八ッ場ダム、霞ヶ浦導水事業の日量54万3千トン、136万人分の水、この新たな水開発は必要ありません。

八ッ場ダムは、2009年に当時の国土交通大臣が建設中止を表明し、検討の場が設置されましたが、本県は見直しを主張せず、1都5県の知事は、ダム推進を表明してしまいました。国と県の責任は重大です。
八ッ場ダムは建設費4,600億円、本県の負担は268億円で、すでに227億円支出しました。これまで、工期延長や事業費の倍増など3回の見直しがあり、今議会には2021年までの4年延長を提案しています。今後、500~600億円の増額も指摘されており、事業費の大幅増額は必至です。
これ以上の財政負担や必要のない水開発をやめさせるためにも、八ッ場ダムの中止を国に求めるべきですが、知事の所見を伺います。(答弁)

次に霞ヶ浦導水事業についてです。

43キロメートルの地下トンネルをつくり、那珂川の水で霞ヶ浦を浄化し、渇水のときは那珂川に霞ヶ浦の水を送る計画です。
導水のトンネルは日本では例のない長さで、浄化どころか、水質の悪化、環境破壊が指摘されています。漁業者は、那珂川の自然とアユを守りたいと、取水口工事中止の裁判をおこしています。
霞ヶ浦は、39年前に常陸川水門で汽水湖を閉鎖し、巨大な内陸型ダム湖にしたことが水質を悪化させました。この根本問題の解決が課題です。
水戸市の桜川は、土地改良区に委託した送水により改善しています。給水実績を見ても日量45万トンの開発は全く必要ありません。

現在、工事は中止しています。ところが本県は、2010年から始まった関東地方整備局の5回の幹事会で、水余りは一言もいわず、環境改善のため早急な推進をと、繰り返し要望しています。
事業費は1,900億円、本県負担は851億円、すでに661億円も支出しました。事業費の8割は使いましたが、トンネル工事は3割の状況です。事業を開始すれば、2年後の完成予定は大幅に延長され、事業費の大幅増額は県財政と水道事業、水道料金に重くのしかかってきます。知事の役割は、中止を国に求めることです。ご答弁下さい。(答弁)

霞ヶ浦導水事業が完成した場合、県中央広域水道の11市町村は、日量21万トンの新たな水を県から買わなければならないのです。
水戸市は6万人以上の余裕水があるにもかかわらず、実施協定にもとづく県との需給契約により、県水を年間1億6千万円も買わされ、15年間で28億7千万円も支出しました。市町村財政と県民のくらしを守るためにも、導水事業の中止を強調します。

次に水道料金についてです。

2006年から4つの広域水道は、黒字決算で、2012年では26億円の黒字です。県南水道は、14年前から黒字なのに、一度も値下げをしておりません。鹿行と県西は基本料金を一回だけ値下げしました。
市町村長から毎年値下げの要望が出され、知事は値下げに踏み切るべきですが、ご答弁下さい。(答弁)

値下げをしない一番の原因は、今後の水源開発と拡張事業です。
水道事業に占める水源開発の費用は、県中央広域では6割を占め、県南・県西・鹿行も4割から5割です。そのため、高い水道料金となり、中央広域は日本一高いのです。
今後、県南広域は八ッ場ダムで日量6万トン、中央広域は、霞ヶ浦導水で、日量21万トンの水源開発があり、水道料金にのしかかってきます。事業をやめれば大幅値下げが可能です。水源開発の中止を求めてこの質問は終わります。

3.知事の政治姿勢について

次に、知事の政治姿勢について伺います。

本県は、特別職の副市町村長に、現職の県職員を11人派遣しており、全市町村の25%を占めています。昨年は30%でした。
私は、東京都を除く、関東甲信越の8県の状況を調査しました。パネルをご覧下さい。

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派遣ゼロが3県、1から5名が4県で、埼玉は9人と全市町村の14%です。
市町村からの要請に基づいて派遣しているということですが、本県は特別に多い状況です。県の意向や政策を受け入れさせる、誘導策になってはいないでしょうか。
地方分権に逆行し、地方自治をゆがめるものではないでしょうか。見直しについて知事の所見を伺います。(答弁)

本県は総務部長など9人の幹部職員を国から受け入れています。
絶えず国の動向を見て、国と一体で大型開発をすすめてきたのが本県の問題です。特別職の派遣は、県のいいなりになる市町村をつくることではないでしょうか。
地方自治の原点にたって、このような国からの幹部受け入れ、市町村への特別職派遣を見直すことを強く求めます。

次に知事の政治資金について伺います。

平成12年に政治資金規正法が改定されました。改定前は、企業や団体からの寄付が認められており、橋本知事の資金管理団体の収入は、8割以上は企業や団体からの寄付でした。改定後は、政治資金パーティーによる収入とし、形を変えた企業・団体からの献金であり、日本共産党は、政治資金パーティーは禁止すべきと主張してきたところです。
平成23年分の知事の資金管理団体の収支報告では、政治資金パーティーの支払い者数は662人で、収入の83%を占め、4,293万円でした。
知事は、多くの許認可権や発注権をもっています。20年という長い就任の中で、権限と影響力を使って、契約関係にある企業や団体からの政治資金を集めることは、社会的道義的に許されないことです。知事の所見を伺います。(答弁)

平成23年分の報告でも、県が発注している企業、県が開発した土地を購入し借用している企業、産廃業者や各種業者が記載されています。権限を使って団体や県の関係業者に献金を要請する、このような政治資金パーティーは、やめることを強く求めます。

最後に知事の退職手当について伺います。

知事は4年ごとに退職手当が支給され、20年で2億3千万円余となりました。
条例で、給与月額134万円に、在職期間48ヶ月をかけた額に、一定の割合をかけて決めています。1期から3期目は80%、4期目は64%、5期目は56%でした。全国では4県の知事が条例を改正し、「支給しない」と明記し、受け取っておりません。
橋本知事も、条例を改正し、退職手当をやめると決断すべきです。

6期目に対する知事への投票は有権者の2割でした。5期20年の県政運営に対する厳しい批判と受け止めるべきです。大型開発を推進し、借金は予算の2倍、2兆円に増大させました。開発用地はばく大な売れ残りをかかえ、処理のため1,600億円もの一般財源をつぎ込みました。
一方で福祉や補助金の切り捨て、県職員や教員を削減し、給与や退職金の削減を強行しました。これまでの県政運営を改めなければなりません。県民への責任として、せめて退職手当は受けとらないと決断をすべきです。
知事の所見を伺います。(答弁)

以上

(PDFは日本共産党茨城県委員会Webの「資料」をご覧ください)