茨城県議会第1回定例会は3月20日閉会しました。
鈴木さとし県議が反対討論を行いました。全文は次の通りです。



新年度県予算 財政運営改め、県民の生活支援優先に
消費税増税分 手数料・使用料に転嫁 鈴木さとし県議が反対討論


日本共産党の鈴木聡です。

第1号議案、平成26年度一般会計、第12号港湾、第13号都市計画特別会計予算案に反対いたします。
4月からの消費税増税は、県民の暮らしも地域経済もどん底に突き落としてしまいます。
厚労省が18日に発表した毎月勤労統計では20カ月連続で基本賃金が減少しています。
県内の企業倒産は153件で、昨年より増えています。

県予算は県民生活支援を優先にすべきでした。
しかし、料金値上げ、福祉切り捨て、職員を削減するなど、冷たい予算です。
消費税増税分をすべて県立施設の使用料に転嫁し、12億円の値上げです。
値上げをやめ、増税中止を国に働きかけるべきです。

県立こども福祉医療センターを廃止してしまいました。
障害児が増えており、療育体制への県の責任を弱体化することは同意できません。

社会保障の改悪は、県民生活を脅かしています。
介護保険は今後、軽度の要支援者へのホームヘルプ、デイサービスを市町村に移行させようとしています。
県社会保障推進協議会が行った県内自治体への調査では、3割以上が不可能と答えています。
「現在の人員体制では無理」「市町村に格差が生じる」「介護サービス低下が心配」など意見が寄せられました。
国に対して社会保障の改悪をやめるよう働きかけることです。

一般職員43人、教育職262人の職員削減は、県民サービスの低下と職員の労働強化につながり同意できません。

開発用地の借金返済に1年間に351億円の税金投入

県政の最重要課題は大型開発の見直しです。八ッ場ダムを推進し、常陸那珂港など港湾会計は221億円、1.6倍も増額です。
TX沿線開発も特別会計は、622億円と2倍の増額です。
売れ残りと借金をかかえ、すでに港湾には233億円、TX沿線開発には209億円も借金返済のため税金を投入しているのです。事業の見直しをしなければなりません。

県民の願いで、子どもの医療費補助は対象年齢を拡大しましたが、厳しい所得制限で25%は受けられません。
中学3年生までの無料化にはあと25億円でできます。
少人数学級を中学3年生まで拡大するのには、あと54億円でできます。

開発用地の借金返済に1年間で351億円も支出する財政運営をあらため、県民の生活支援に切り換えるべきです。

東海第2原発の廃炉を求める世論に逆らって、再稼働の動きが強まっています。
休止中の原発に核燃料等取扱税を課税することは、再稼働容認につながり、同意できません。

高校授業料に所得制限導入、負担は2割以上の生徒に

第46号議案は、県立学校の授業料の無償化制度の廃止に伴う支援金の条例です。
所得制限が設けられ、2割以上は授業料を支払うことになってしまいました。
教育を受ける権利を保障する無償化制度は、世界の流れであり、廃止の撤回を求めます。

食料自給率を大幅に後退、TPP交渉参加は撤回すべき

請願第1号は、TPP交渉からの撤退を求める意見書提出に関する請願です。
この3年間、国民の反対を押し切って政府はアメリカとTPP交渉を重ね、今年2月には甘利担当大臣は「今回ある程度妥協しないと交渉は漂流する」として、TPP交渉は閉幕しました。

これを機会に政府は、TPP交渉から全面撤退すべきです。
食料自給率は大幅に後退します。

農業に対する保障制度を変えて、米の交付金の半減・廃止や生産調整を廃止するなど、米価の下落と不安定化で家族経営農業を窮地に追い込み、企業経営や大規模経営に転換しようとしています。

本県は北海道に次ぐ農業県です。TPP交渉に参加しないよう政府に働きかけるべきであり、本請願の採択を主張します。

なお、このあと議題となる議第2号は、市町村合併が進んだことに選挙区を合わせようとする公職選挙法改定に伴うもので、同意できません。

定数削減と選挙区を広げるだけでは住民との関係を希薄にし、地域代表としての県議会議員の性格を否定することにつながりかねません。

本県においては6割にあたる22選挙区で、民意が正確に議会に反映されない1人区です。
さらに、「1票の格差」も2倍を超える選挙区が5つ、人口と定数の逆転選挙区が8つもあります。
選挙区割りは民意が正確に反映されることを基本にすべきです。

以上で討論を終わります。



第1回定例会での各会派の態度

20140320

(「県議会速報」より転載。PDFは日本共産党茨城県委員会Webの「資料」をご覧ください)