各党が総力をあげる3日告示の茨城県議選(12日投票)。全国8位の財政力に恵まれながら、県民1人当たりの暮らし福祉の予算(民生費)は46位という県政のゆがみをただし、暮らしを守る力があるのはどの党か――。日本共産党と自民、民主、公明、みんなの各党との対決構図が鮮明となっています。

願い実現へ/国保税・水道料下げ

 水戸市の72歳男性は「暮らしは苦しくなる一方だ。とくに国民健康保険税が高すぎる」といいます。

 茨城県の国保税は平均で1人あたり年間9万5千円と全国平均より5千円も高くなっています。国保税を払えず保険証を取り上げられた世帯(窓口で10割負担の資格証明書にされた世帯)は10年間で2倍、6600世帯になりました。

 国庫負担金削減にくわえ、県が2006年に市町村国保への県独自補助を増やすどころか全廃したことが追い打ちをかけました。

 県議選では、県補助の切り捨てに唯一反対した日本共産党が1人当たりの国保税1万円引き下げを掲げます。自民、民主、公明、みんなの各党は国保税の問題に触れていません。

 関東で一番高い水道料金も県民生活を圧迫しています。

 県外から引っ越してきたばかりという、つくば市の30代男性は「仕事で全国を転々としてきたが、こんなに高いのは初めて」と請求書を見て驚きます。

 県内の平均水道料金は神奈川県の約2倍にも(下記)。年間2万円も負担が重くなっています。

●関東1高い茨城県の水道料金●
茨城  3691円
千葉  3525円
栃木  3002円
群馬  2508円
埼玉  2400円
東京  2190円
神奈川 1921円
(20立方メートルの月額。09年4月1日現在、日本水道協会調べ)

 高額料金の原因は、県が水道事業の大幅な黒字(09年度28億円)を県民に還元せずに水を高く売り、水道事業費を無駄な開発につぎ込んでいるからです。

 水余りなのに八ツ場(やんば)ダム、霞ケ浦導水事業、湯西川ダム、思川開発をすすめ、県はこれまでに約750億円(平均で年31億円)を水道事業費から支出しました。今年度は15億円の予定です。

 共産党はこうしたゼネコン奉仕型公共事業の中止・見直しを迫り、県議会で水道事業のもうけすぎの実態を示して値下げを要求。県から「できるだけ値下げにしたい」(09年12月、企業局長)と答弁を引き出すなど奮闘しています。今年4月から県西水道料金の値下げが実現しました。

 自民、民主、公明、みんなの各党は11月議会で水道料金値下げを求める請願にそろって反対しました。国レベルで霞ケ浦導水事業の予算を凍結した民主党も県議会では反対せず大型開発推進の知事にすり寄っています。

ムダをなくす/開発優先の転換を

 税金の無駄づかいをチェックする役割を果たしているのも共産党だけです。

 茨城県は不動産ブローカーのように工業用地や宅地を買いあさり、売れない土地が1594ヘクタール(水戸の偕楽園122個分)も残っています。このうち住宅供給公社は10月に破産しました。

 共産党は県議会で唯一、この無駄で無謀な土地開発の見直しを求めてきました。住宅供給公社元職員の男性は「たしかに共産党がストップをかけたときにやめておけば、こんなに損失は出なかった」と悔やみます。

 県は開発への融資で利子をぼろもうけしてきた銀行に対して責任に応じた負担を求めることもせず、20年間毎年100億円以上の税金を損失処理に投じる方針を県議会に提案。

 土地開発をあおってきた自民、民主、公明は反省も謝罪もないまま、県の方針に賛成。失敗のツケを県民に押し付けています。

 100億円あれば▽国保税1万円の引き下げ▽中学校までの子どもの医療費無料化▽保育園・特別養護老人ホームの待機者ゼロ――を実現しても約30億円のおつりがくる――共産党は県民のために使おうと提案しています。

議会に反映/発言回数ダントツ

 県議団の大事な役割は県民の声を議会に届け県政に反映させることです。この点で日本共産党は抜群の働きをしています。2007年から今年3月議会までの議員1人当たりの発言回数は、共産覚が88・5回でダントツ(下記)です。県議会に出された請願(07年~10年6月)の7割は共産党が紹介議員になっています。

●県議会での党派別1人あたり発言回数●
共産党  88.5回
公明党  45.3回
民主党  33.0回
自民党  22.4回
(2007年から10年3月議会まで)

 2人の県議で何人分もの活躍をし、県民の運動と力を合わせ、県政を動かしています。

 後期高齢者医療制度の保険料を値上げする都府県も少なくないなか、4月からの値上げを中止させました。

 今年10月から子どもの医療費を小学校3年生まで無料にしたのも共産党の頑張りです。

 日立建機の非正規労働者の解雇に対し、会社側と直接交渉して労働者500人の雇用を守りました。

 離れた場所への移転が計画されていた県立こども福祉医療センターは、現在地に隣接する場所に残ることになりました。いま同センターの「民設民営」化反対へ全力をあげています。

 共産党の議席を伸ばすことは、県民のくらしを守る県政に変える最大の力です。

(「しんぶん赤旗」2010年12月2日付・3面より)